バルタン誠路nのブログ

聖書についての随想、書籍感想

共に生きる生活 ディートリッヒ・ボンヘッファー著 森野善右衛門訳 から 2

P.34
霊的な交わりの土台は真理であり、人間的な交わりの土台は欲望である。霊的な交わりの本質は光である。
……
霊的な交わりはキリストによって召された人たちの交わりであり、人間的な交わりは敬虔な心〔を持った人たち〕の交わりである。霊的な交わりでは、兄弟として奉仕し合う明るい愛、アガペーが生きており、人間的な交わりでは、敬虔に見えて実は不敬虔な衝動の暗い愛、エロースが燃えている。霊的な交わりでは、秩序よく整えられた兄弟としての奉仕があり、人間的な交わりでは、享楽を求める無秩序な欲望がある。霊的な交わりでは、兄弟への謙遜な従属があり、人間的な交わりでは、謙遜に見えて実際には高慢無礼は、自分の欲望に兄弟を従属させようとする態度がある。霊的な交わりでは、ただ神の言葉だけが支配しており、人間的な交わりでは、御言葉とならんで特別な暗示的-魔術的な素質を持った人間が支配している。霊的な交わりでは、すべての力と栄誉と支配とは聖霊に委ねられ、人間的な交わりでは、人格的な類いの力とその影響を及ぼす領域が求められ醸成される。たしかに敬虔な人たちが問題とされる場合には、その意図においては最高で最善のものに奉仕しようとする気持があったとしても、しかし実際には、聖霊を王座から引き下ろして非現実的な彼方に押しやることになるのである。そこには人間的なものだけが現にとどまっている。