バルタン誠路nのブログ

聖書についての随想、書籍感想

共に生きる生活 ディートリッヒ・ボンヘッファー著 森野善右衛門訳 から 1

P.27

……キリスト者の交わりの中に持ち込まれるすべてのこのような人間的理想は、真正の交わりを阻害するものであり、したがって真正の交わりが存続しうるためには、そのような理想像は打ち砕かれなければならない。キリスト者の交わりそれ自身よりも、キリスト者の交わりについての自分の夢を愛する者は、たとえ個人的には正直で、真面目で、犠牲的な気持で交わりのことを考えたとしても、〔結局は〕すべてのキリスト者の交わりの破壊者となるのだ。

 神は夢想を忌み嫌われる。なぜなら、夢想は人を高慢にし、要求ばかりする人にするからである。一つの交わりのイメージを夢想する者は、その実現を、神に、他者に、そして自分自身に求める。彼は要求する者としてキリスト者の交わりに入ってきて、自分自身の律法をつくり、それによって兄弟たちと神ご自身とを裁く。彼は、兄弟の群れの中で、他のすべての人たちに対してきびしい叱責者のように冷然と立つ。彼はあたかも自分がキリスト者の交わりを造り出すかのように、自分の幻想的なイメージが人々を結び合わせるかのように行動する。自分の思い通りにならないときに、彼はそれを〈失敗〉と呼ぶ。自分のイメージがつぶれてしまうと、彼はそこに交わりの破れを見る。そこで彼は、まず最初に兄弟を非難する者となり、その次に神を非難する者となり、遂には自暴自棄的に自分自身を非難する者となる。