バルタン誠路nのブログ

聖書についての随想、書籍感想

自立(西研「ニーチェ ツァラトゥストラ」より)

…目の見えない学生が大学のゼミに来たことがあります。ゼミ生もぼくもどこまで気を遣えば良いのか、あるいは気を遣う必要はないのか、よくわからなくて、最初少し戸惑いがありました。どこで、「何か必要なことがありますか?」と彼に聞くと、「では一つだけお願いがあります。しばらくの間でよいので、発言するときに名前を一緒にいってくれませんか」と答えたのです。そこで名前と声が一致するまでの期間だけお願いします、ということでした。…このように自分の事情をメンバーに話し、必要な助力を頼むことができた点で、ぼくは彼は「自立」そいていると感じたのです。頼らないのが自立ではなく、助力が必要ならばそれをきちんと他人に伝えられることが自立なのです。

100分で名著 ニーチェ ツァラトゥストラ p.68